ゆく年くる年南アルプス縦走
新年あけましておめでとうございます。
今年も立命館大学体育会山岳部をよろしくお願いします。
12/26〜1/3にかけて、南アルプスの北岳から塩見岳への縦走を行いました。以下、その詳細になります。
参加者:3回生 西
2回生 杉山、村田
1回生 浜田
12/26 0日目
京都駅集合
クリスマスに出発した去年の反省を踏まえ、今年は日にちをずらして26日に出発した。しかしみんな
ドキドキなイベントはなく、バイトや合宿準備をしていた模様…まぁそんなもんだろう。
↑カメラと冬靴を買って出発前からご機嫌な我らが主将
12/27 1日目
韮崎~夜叉神峠~鷲の住山~歩き沢橋~池山山頂付近
夜行バスに乗って韮崎まで行き、そこからタクシーで夜叉神峠まで移動した。
↑韮崎駅にて。富士山が身近な生活はうらやましい。
↑夜叉神峠にていろいろ準備する浜ちゃん
夜叉神峠のゲートを抜けると夜叉神トンネルがある。ヘッドライトをつけて歩く。気分はケービング。
↑出口だ!
↑間の岳が見事に見える
トンネルを抜けると、そこは雪国だった…とはいかないが、ところどころに雪がついている。
ちなみにこの文章、主語がわからないため英訳するのが非常に難しいんだとか。
鷲の住山に取り付き、スリップに注意しながら降りていく。
発電所のつり橋を渡ったら、ちょっとした岩のある場所を超えてまた舗装路に出る。そこからてくてくと歩き続けて歩き沢橋に到着。
↑つり橋。かなり揺れるが、僕はプロなので手を使わずにわたる。
↑歩き沢橋登山道手前で一休み。ここからが本番である。
去年よりも雪が少ないこともあり、転倒することもなく進んでいく。
池山の山頂付近で時間が来て、そこでテントを張る。
↑山頂付近は平らで2人用テントならどこでも張れそうである。
晩御飯は村田の豚汁。ごぼうが効いていておいしかった。
12/28 2日目
池山山頂付近~ボーコン沢ノ頭付近
朝から風が強く、樹林帯の木々がざわめいている。
トレースがはっきりと残っていたので夜明け前に行動しても迷うことはなさそうだ。
去年は城峰までが遠く感じられたが、今年はずいぶんとあっさりと行けた。これが成長だろうか。
砂払いからは森林限界となり、雪の量が幾らか増えたのでツボ足からワカンを装着する。
しかし結構岩が出ていること、雪がそこまで多くないことを考えたらアイゼンでよかった気がする。
11頃にボーコン沢ノ頭につく。この時点で風は強い。ボーコン沢ノ頭から、テント泊適地を探した。
地形図上では八本歯の頭から南に延びている尾根上に張れそうであったのだが、実際に見ると厳しそうである。
そこでボーコン沢ノ頭の頭から稜線上に少し歩いたところでテントを張る。
↑テントから見た北岳。ガスってもはや見えない。
晩御飯は僕のキムチ鍋。あったまりそうなものを(味見もせずに)放り込んだかいあって、風が強かったにもかかわらず気持ちよく眠れた。
12/29 3日目
沈殿
この日は朝から風が強すぎたのでおとなしく沈殿。
無理、ダメ、絶対。
西さんがずっとラジオを聞いていた。
晩御飯は浜ちゃんのシチュー・オンザライス。なんてことはなく。ホワイトシチューをご飯にかけただけである。
12/30 4日目
ボーコン沢ノ頭~北岳山荘
1日休んで気力を回復した我々は、今合宿で一番の山場である八本歯のコルを超える。
コルなのに山場。山岳部ジョーク。
予定では雪山に不慣れな浜ちゃんのためにFIXを張る予定だったが、浜ちゃんがすいすいと通過してしまったので、ロープを出さなくて済んだ。
↑八本歯のコルを通過する浜ちゃん。右の黒いのは僕の手袋が映り込んだもの。
コルを超え、いざ稜線。去年の体が飛ばされそうな強風を思い出す。
今年は突破してやるぞ、と意気込んで稜線に出ると、思ったより風が弱い。
しめた、と北岳のピークを狙うも、浜ちゃんの体力の消耗加減を考え、ピークはあきらめ山荘を目指す。
地味にこの山荘までの道が険しかったので、注意が必要だった。
↑北岳山荘を見かけ一人先行する村田。すごくうれしそうだった。
↑ 山荘から見た北岳。ピークはまた今度。
↑山荘から見た富士山。雄々しい。
晩御飯は合宿に来れなかった市岡のキムチ鍋。量が多すぎて山荘に居合わせた同志社大の山岳部にも食べてもらった。
キムチ鍋、米ともに好評だった。米は僕が炊いたんだぞ、えっへん。
12/31 5日目
北岳山荘~熊ノ平小屋
夜明け少し前に行動開始。
間の岳手前で冒頭の日の出の写真を撮った。
初日の出みたいな雰囲気を出しておいて実は最後の日の出であった。
日の出の写真があれしかなかったのだから、許してほしい。
そんなこんなで間の岳につく。
↑間の岳山頂にて北岳をバックに。
↑逆光バージョンもかっこいい?
ここからはトレースがなかった。三峰岳まで稜線沿いに歩いた。
三峰岳ピーク付近が少し危ない、といった感じだった。
↑三峰岳。右手は後光がさして神々しい村田。
少し降りてなだらかなところで一休憩。
↑「うぇ~い」というセリフが似合いそうな1枚。
熊ノ平小屋手前まで行くと、稜線沿いに行くのは危険そうだとわかったため、夏道と同じく熊ノ平小屋まで行き、そこからまた稜線に出るというルートを取ることにした。
この時点で13時。ラッセルをして進める距離は知れているし、それなら今日は小屋泊にして明日のラッセル地獄に備えようということで、小屋に泊まることにした。
↑小屋に現れる6テン。テントは張れない。
↑つららからの水滴を集めている。西さんいわく「この味だよ!!」とのこと
↑晴れたらとにかく寝袋を干す
ところでこの日は大晦日。西さんも「今日大晦日やで杉ちゃ~ん」と30回くらい言っていた。
最近大学生の間で大晦日にする流行り事がある。僕の調べでは、大学生のみならず、日本人の95%はやっているはずだ。
まさかやったことのない人なぞいないだろう。そう、それは…
ラッセルである。
↑雪は浅かったり深かったり
「まだ時間はあるし稜線まで空身でトレースつけてついでに先の偵察もしよう」という至極まっとうな意見のもと、僕と西さんはラッセルをしたのであった。
…え?ラッセルなんかしない?初耳?
まぁ今この文章読んで知ったと思うので認知率100%ですね。はい。
ラッセルのルート選びだが、「動物の足跡があるところは雪が少ない」ということを発見した。
それをもとに、踏み抜きが少なそうなルートをラッセルした。
「冬の道は動物が教えてくれるのだよ…」と西さんが言っていた。うん、順調に野生化が進んでいる。
今年最後の活動ははラッセルで終わった。
今年最後の晩御飯は「マーボーおふ」。
誤字ではなく、マーボー豆腐の豆腐の代わりに麩を入れたハイカラなものである。
熊ノ平小屋は木組みで、暖かい。
西さんはラジオで紅白歌合戦を聴いていた。
大晦日の夜は平和に過ぎていった。
よいお年を。
1/1 6日目
熊ノ平小屋~肩の広場手前
新年あけましておめでとうございます、という挨拶もそこそこに出発準備。
昨日のトレースをたどるも、どうやら我々の先にパーティが通ったらしく、しっかりとしたトレースがあった。
拍子抜けではあるが、先へスムーズに進めそうであった。
夏道の樹林帯を歩いていたが、木々が茂っており動きにくかった。
普段から練習していた匍匐前進が役に立った。え、練習しない…?
ただただ歩くこと6時間。北荒川岳についた。
↑北荒川岳山頂にて塩見岳をバックに。ポーズをとるも見切れる僕。
北荒川岳の南面はかつての幕営地の様子を残していた。現在は幕営禁止である。
結果、肩の広場手前でテントを張った。
1/2 7日目
肩の広場手前~鳥倉登山口
この日にサブタイトルがつくなら、「山岳部大行進」になるだろう。
朝、雪が結構積もっていたので日が出るまで待機し、外の状況を確認する。
うむ、見事にトレースがなくなっている。
しかも風が強くなってきた。
早いこと出てしまおうと、急いで撤収。
痩せてはいるが、傾斜はなだらかな道を登って塩見岳東峰に至る。
↑尾根に取り付き始め。意外とのっぺりしている
↑北俣分岐からは険しい道となる。
風も強く、結構切れた稜線である。ここで休憩するわけにもいかず、疲労した浜ちゃんを励ましながら進む。
↑塩見岳東峰。結構風が強かった。
そのまま塩見岳西峰へ。西峰はスルーしようと思ったが、全体写真がないことに気づき、撮影。
↑もはやなんのこっちゃわからない
こうもガスっていてはたまらない。
ベアリングを確かめて先を急ぐ。
うっすらとあるトレースをたどって、塩見小屋まで降りれた。
ここまでくると下山したいという思いが強くなり、ただ先を急ぐこととなる。
↑西日の中進む山岳部
疲れてふてこくなった浜ちゃんを先頭に、三伏峠まで歩く。
この時点で17時。普通なら三伏小屋でテントを張るのだが、それ以上に下界への思いが強くなっていた。
夜間行動をしてでも登山口へ降りることを決意、さらに歩き続けた。
山の夜は星が美しい。そして、星の光は人をセンチメンタルにする。
西さんが言った。「星に比べたらわしの人生ってしょーもないよなぁ」
いいえ、たとえ大きさが小さくとも、その輝きが小さくとも、あなたという星を気に入ってくれる人はきっといますよ。
なぜ人は星と人生を比べたがるのか。そもそも比較対象として間違っていると思うのだが。
とまぁ疲れてこんなことを考え始めたころに、ようやく登山口についた。時刻は20時。
13時間行動である。そりゃ疲れるわ。
平らなところにテントを張って寝られる幸せをかみしめながら、余った僕の行動食のチョコレートと紅茶でみんなで小さなパーティーを楽しんだ。
1/3 8日目
登山口から降りたとはいえ合宿が終わったわけではない。早いとこタクシーを予約して下界に降りたい。
冬期ゲートまでの道すがら、電波を拾った村田がタクシーを予約してくれた。
タクシーを予約する村田の声は、聞いたことがないくらい弾んでいた。
歩くこと2時間、冬期ゲートについた。
↑冬期ゲートと待ってくれる村田
1時間ほど待って、タクシーに迎えに来てもらった。
下界で温泉に入り、人間になった。
ついでに初もうでもした。
↑お願いは秘密だそうな
去年のブログで書いた、リベンジが叶ってよかった。成長を実感できるというのは楽しい。これからも、成長を実感できるように日々鍛錬に励みたい。
おまけ
これがマーボーおふだ!!!
作り方
水を沸かし、麩を入れてしばらくしたら市販のマーボー豆腐のもとを加えて混ぜるだけ
ちなみにこの手順、逆にすると「麩がマーボー吸ってまうやろが!!」と西さんにガチギレされるので注意が必要である。