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20211210 短期合宿:荒島岳ヒメマチ稜


こんにちは。1回生の西村です。

年末縦走北岳班で福井県荒島岳にある冬期バリエーションルートへ練習に行ってきましたので、ここに報告致します。


 

【日程】

12/10~12/12

【参加者】

5回 村田

3回 原

2回 竹村 南川 五十嵐 西田

1回 長和 谷崎 西村

【編成】

A班 竹村 村田 西村

B班 五十嵐 南川 長澤

C班 原 西田 谷崎

【行程】

12/10 BKC〜勝原

12/11 勝原〜登山口〜ヒメマチピーク手前(ビバーク)

12/12 ヒメマチピーク手前~勝原


 

【12/10】


西友で買い出しを済ませていざ福井へ。

車を出してくださった、村田さん、西田さんありがとうございます


勝原で前泊。

勝原は「かどはら」と読むらしい。

駅舎は暖かくてとても快適でした。

しかし、トイレが使えない…

水汲み場の水が瀕死…

少し苦労しました。

 

【12/11】

渋滞を避けるため勝原駅を30分ずらしで出発

A班 4:00

B班 4:30

C班 5:00


登山口から歩き始めて、あることに気がつく。

雪少なくね???

そもそもこの時期に雪が沢山積もってる訳がないのだが、前日の雨でさらに減ったらしい。

そしてこれが悲劇の始まりであった。


グチョグチョに腐った嘗て雪だったものの上をゆく。


シャクナゲ平に無事に到着。

私たちA班はかなりのハイペースで登ってきた。

そしてここで一旦下降しヒメマチ稜取り付きを目指す…はずであったが、コンパスと地形図を頼りに必死に分岐を探すもどうしても見つからない。

諦めて薮を突破することに。

薮を漕ぐこと10分あまり、踏み後を発見し

、ルートに復帰する。

久々の適度な藪漕ぎに満足感と達成感を覚える。

この時はあとは踏み跡をたどって、雪の尾根を歩くだけ…と思っていた。


破線のルートに復帰し、しばらく歩き、取り付きへの分岐を探すがまたしても見つからない。

そこで仕方なく何とか通れそうな枯れ沢を下ることに。

しかし、この沢を降り続けると1つズレた谷におりてしまうことが判明し、横の尾根を強引に登り返し、何とか取り付きへ。

取り付きは階段状の岩で意気揚々と登攀を開始する。



取り付きを少し登るとコケと泥でぬたぬたになった岩壁が出てきた。

どうやらここが核心らしい。

西村のスペックに不安があった為、先輩方にロープを出して頂き、FIXで。

ここで取り付きまでのルーファイに失敗した我々はほかの2班に追いつかれる。

少し時間は押しているが、このまま順調に行けば夜には勝原へ帰れる。

特に根拠はないが恐らくみながそう思っていたであろう。


しかし、この「本来の核心」を超えたところで異変に気づき始める。


雪がない。


登れど登れど、雪がない。

おまけに背丈を優に超える超高密薮と泥壁の急登とで、歩みは遅遅として進まない。

時間が押してくる。

外付けのピッケルが薮に引っかかり確実に私の体力を奪っていく。

早く登らないと。

私の高1から履き続けている7年物の登山靴にはソールがもう残っておらず、何度壁に蹴りこんでもキックステップが全く決まらない。

仕方ないから腕力だけを頼りに壁を、薮を登ってゆく。

雪は、雪はまだなのか。


私の消耗が激しく、明らかに他の班や同じ班の上回生に遅れ始める。

もう日没までまで時間が無いのに、ヒメマチピークにすら着く気配がない。

私が遅れたばかりに、2人の先輩まで巻き込むことはとても申し訳ないと思ったが、この薮が続くのであれば今日中の下山は絶望的である。

16:00くらいから私の意識はビバーク地を探すことに移り始める。

終わりは唐突にやってきた。

切り立った尾根を通過している時に、私の左腕がつってしまった。

今日はもうダメだ。

場所は最悪だがどうしようもないので先輩方に謝り、ここでビバークすることに。

薮の間でパスを取ってツェルトを被り三角座りをする3人。

そしてこの時、ほかの2班もここからほんの少し先のところでビバークすることにしたとの連絡があったことを知る。

ここでさらなる問題が発生する。

行動食と水がヤバい。

とりあえず、消費を抑え寝ることに。


 

〜後日談〜

どの班も一応ツェルトだけは持ってきていたが、ビバークするなんて毛頭思っておらず、装備の足りない隊員が私含め数名発生する。

また、先行する班の中には藪でザックが開いてしまい、行動食をまるまる落とした隊員もいたとらしい。

その他にもコンパス、ヘッ電と色々なものを荒島岳に落としてきたようだ。

何やってんねん、、、

暴露からの遮断し、火を炊き、行動食を摂ったがまあ寒かった。

バイタルチェックを定期的に行い夜を越した。


なおご心配をお掛けした保護者、OB、バイト先関係者様にはお詫びと共に、再発防止をここに深く誓います。

尾根でのビバークは窮屈ではあったが、雪が無い分、雪の上で寝た他の班よりかは暖かかったらしい。

 

【12/12】


私たちの班は少し出発して先行する2班に追いつくことに。

しかし、やはり消耗している西村が足を引っ張ってしまい、とても申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

明らかに血糖値が下がっていることが自覚された。

そして行動食を柿の種とベビースターしか持っていかなかったことを酷く後悔する。

無理の無いペースで歩いていれば単糖類なんていらないというのが私の持論であったのだが、心身共にかなり追い詰められていたこともありすぐにエネルギーに変わる単糖類が喉から手が出るほど欲しかった。


目の前では、荒島岳に行動食を強奪された南川先輩もシャリバテに苦しんでおられた。


そして、一向に雪に埋まる気配のない薮をかき分け何とかサミットへ。

山頂付近の薮だけは申し訳程度に雪に埋まっており、快適に歩けた。

そう。本当は全行程がこうなるはずだったんだ…

ただ、山頂からの眺めは素晴らしかった。


その後は一般道を通って快適に下山。

といきたいところではあったが、雪が溶けてぬかるんでおり、あまり快適ではなかった。


そしてついに下界へ。

私はここで飲んだ、低血糖の身体に染み渡るコーラ(ノンシュガー)の味を忘れることは無いだろう。


【総括】

今回の山行は紛れもない遭難であった。

想定していなかった事態により行程に大幅な遅れが生じ、安全マージンを十分に残した上での下山ができなかったからである。

以下に私が個人的に思う当山行の問題点を挙げ、次回に繋げたいと思う。

また、これは個人を責めることを目的としたものでは無い。


・計画がずさんであった

計画を一部の部員に丸投げをしていて、各自がきちんとリサーチをしなかった。

そして、計画の発表が1週間前というのも良くなかった。

どんなことでも言えるがミスというものはどうしても発生するものなので、少なくとも数週間前には計画を立て全員で内容を吟味すべきであった。


・リサーチが楽観的すぎた

そもそもこの時期のこの場所の1500m級の山に雪が沢山あるわけなんてないのである。

福井の山は初めてであったとしても、条件の近そうな伊吹山なんかを参考にすれば十分にこの事態は予測出来た。

また、深い藪に覆われているなら、ちょっとやそっとの積雪では埋まらないことも明らかである。

そして、12月の山行記録がほとんど存在しない点を無視していたことも問題である。

これだけの材料が揃いながら山の状態を予測できなかったのは愚かである。


・現地での判断の甘さ

雪が冬期バリエーションルートを形成できるほど積もっていないであろうことは、かなり早い段階からわかっていた。

このルートが後戻りできないこと、ビバークの準備が足りていないことも考えれば、遅くとも取り付き付近で引き返すのが懸命であったはずである。

なのに突き進んでしまったことは、根拠のない「なんとかなるだろ精神」によるものであると思う。

また、下級生が判断を上回生に丸投げしてしまったのも良くなかった。


・装備の甘さ

私を含め、行動食などを最小限しか持っていなかった部員が数名いた。

また、個人的にはとっくに寿命を迎えた登山靴で来てしまったことである。

想定が足りておらず今回のような想定外の事態に対処できなかった。

日頃から装備の徹底と必要装備の確認が必須である。


【最後に】

私の登山人生の中で最も苦しい山行であったし、同じように感じた隊員もいたそうだったようである。

しかし、今回のこの時期のこのルートの踏破が無謀であるとは決して思わない。

要は、道の状態をきちんと分かった上で、それに適した装備で挑めばよかったのである。

万全の状態、準備で年末縦走に備えたい

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RUAC
-立命館大学体育会山岳部-

縦走やクライミングなど、一年を通して山で活動しています立命館大学体育会の部活動です。

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